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平日は名古屋、週末は東京。 いつも多くの本をもって移動するのはしんどいが、新幹線のなかは寝る時間と決めている。
T島則行は、東京へ戻る途中、新横浜で乗り換え、青葉台で降りた。 駅前のスターバックスで待ち合わせ、アメリカ出張から戻ってきたばかりのT島のクルマに乗せてもらう。
およそ一〇分で、現地に到着した。 ここを訪問した理由は、二つある。
ひとつは同世代の建築家が設計した住宅であること。 T島は一九六〇年代生まれで、他の建築家とともに、テレデザインというユニットを組んでいる。
この住宅も、鎌倉のT島とテレデザインの共同設計だ。 個人的に、ネットワーク志向の強い建築家の活動に興味をもっている。
もうひとつはチューブ状の構成になっていること。 つまり、住宅のダイアグラムが示すように、個別の機能を割り当てられた部屋を組み合わせるのではなく、連続的な空間を折り曲げることで様々な場所を発生させている。

九〇年代からこうしたタイプの空間構成は増えているように思うが、その行方を見届けたかった。 九〇度に曲げたチューブを上下に重ねていることから命名された。
その特徴は、L字の外側を閉じ、内側を開き、リニアな構成とは別の要素を絡ませたことである。 L字型は、平面だけではなく、立面にも数か所登場し、この作品の署名のように機能している。
道路側はきわめてプレーンな印象。 駐車場の上が少しとびだしているくらい。
エントランスも質素である。 だが、ぎゅっとしぼった導入部を抜けると、閉じた表情の外観とは対照的に、一転して明るい、光にみちた開放的な空間に変わる。
奥に進みながら、ステップをのぼっていくと、L字の端部にはクリーム色のキッチン・ボックス、折り返して二階のテラスにたどりつく。 ここでは敷地が丘陵であることを生かし、開いた眺望を確保する。
道路にいてもあまり感じない環境の特性が、住宅の内部において不意にあらわれるのだ。 この土地を購入し、前の家をとり壊す前に、施主が二階から見て、気に入った風景を意図的に再現したものだという。
新築により、家の記憶は断絶しているのだが、眺めの遺伝子を継承しているのは興味深い。 逆に一階の寝室は中庭にのみ向く。
中庭に向かっては、ほぼ全面ガラス。 すべての部屋が見える。

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